今回の初場所を見ながら、
いろいろと考えさせられた事柄のもう一つが
「
ナショナリズム」の問題について、です。
「ナショナリズム」などという難しい言葉を使うと、
大上段に構えた学問的な論説が展開されるのか?
と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、
今回は別に、そういった内容を特別論じたいわけ
ではありません。
(ちなみに…、
「
ナショナリズム」とは、
「民族主義」、「国民主義」、「国家主義」
などと翻訳される歴史学上あるいは政治哲学上の
思想でして、
特に19世紀以降の世界の近現代史を語る際には
絶対に避けて通ることのできない重要な概念です。)
今回取り上げてみたいのは、
もっと素朴で身近な内容です。
さて、
大相撲中継は、
いつも仕事の真っ最中に放映されることが多いため、
普段はライブで観戦することが困難です。
そのため、当日の取り組み結果は、
夜のニュース番組か深夜に放映されるダイジェスト番組
で知ることになるパターンが多いのですが、
そこで必ず報道されるのが優勝争いの星勘定です。
今場所の優勝争いは、
横綱・
白鳳を筆頭に、横綱・
朝青龍の二人によって
リードされ続けてきたことは既に述べた通りですが、
この二人に続く力士は?と言うと、
終盤戦に至るまで平幕の
旭天鳳(きょくてんほう)と
鶴竜(かくりゅう)といった顔ぶれでした。
上記に挙げた四人はいずれもモンゴル人力士でして、
毎回の話題が彼らの戦いぶりに必然的に集中してしまう
のを見るにつけ、
非常に不思議な感覚に包まれるのを実感するように
なってきたのです。
インタヴューの場面などを見聞きしていると、
彼らは皆、日本語に堪能で、発音やイントネーションには
外国人特有の訛りが強く残ってはいるものの、
現代の日本人の若者が決して知らないような
日本語の難しい表現や単語もいっぱい知っています。
そんな彼らモンゴル人力士たちが、
日常生活でも和服や浴衣を見事に着こなし、
毎日のようにちゃんこ鍋の食事を囲み、
日本古来からの国技である相撲の業界を牽引している…。
いったい、
彼らと我々のどっちが生粋の
日本人なのだろう??という感じすらして参ります。
むろん、
彼らはこの日本という外国の地で大成功を収める目的で、
言わば出稼ぎのような形でやって来た異邦人ですが、
目的が明確な分、日本語を勉強することにも大変熱心ですし、
日本の文化や慣習に少しでも馴染もうとものすごく努力を
重ねているからこそそのようになるのだ、
ということは重々承知しています。
それはそれでいいのですが、
だからと言って、我々生まれながらの日本人が、
自らの母国語の勉強に不熱心だったり、
日本の伝統文化や歴史に無関心であっても構わない、
という理由にはならないと思うのですね。
日本という国は、
国土の四方が海に囲まれているということもあり、
長らく単一民族としての国家を維持し続けて参りました。
ですから、たとえば中東や東南アジア諸国に見られるような
多民族国家ならではの深刻な紛争や苦悩といった問題が
なかなか理解できません。
そもそも、そういった類の問題には鈍感ですらありますよね。
しかしながら、
20世紀以降の通信や輸送手段の目覚しい発達により、
四方の海というものが国境としての機能を
ほとんど果たさなくなりつつあります。
現代の日本は、国際化の大波にずっぽりと呑み込まれ、
都市部に於いては特に、様々な外国人たちと共存する
必要性が日に日に増しつつあります。
このまま行くと・・・、
日本人や日本という国は、これからどうなってゆくのでしょう??!日本の伝統文化の数々は、
次第に廃れていってしまうのでしょうか?こんな状況を迎えている今だからこそ、
我々は
日本人としてのアイデンティテイー(独自性)
にもっと敏感になってもいいのではないかと思います。
この日本という国に生まれ育ったことに
誇りを感じ、
我々こそが、
日本語や
日本の伝統文化・芸能、
あるいは
日本の歴史を後世に伝えていく担い手である、
という意識をもっと持って然るべきです。
大相撲の世界で起こってきている大きな変容を見たこと
がきっかけで、ついそんなことを考えてしまいました。
(ちなみに、
柔道というスポーツは、
相撲とはまた違った変容を伴いながら、
現代の国際化の波に上手く(?)適応して
生き残った分野と言えるかも知れません。
現代に於いて、
日本の古武道としての
柔術を伝える者はもはや数少なく、
<むしろ日本移民が多く渡ったブラジルの方が柔術は盛ん>
明治から昭和の初期にご活躍された
嘉納 治五郎(かのう じごろう)先生のご尽力による
整理・統合・体系化の時代を経て「柔道」として再生し、
更に国際ルールというものの普及によって
大きく様変わりした「スポーツ」となって
現在に至っております。)
まあ、その話題はまた違った論点がありますので、
いずれ別に取り上げることとしましょうか…。
posted by マティラム at 23:52|
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